黄金の羽根を拾う『馬券の資金管理法』

馬券でトータルの収支100%超を目指すブログ。3つのファクター、「予想」、「メンタル」、「資金管理法」に焦点を当てていきます。志を同じくする仲間達と小さなコミュニティーを作るために。一緒に学んでいきましょう。

読まずに賭けるか! 回収率100%を目指す人に読んでもらいたい本の紹介 「ツキの法則」谷岡一郎著

 競馬をしていて「ツイている!」と感じるのはどのようなときだろうか。3戦3勝で一日を終えたあとは「ツイている」と感じるのかもしれない。


 では、競馬をしていて「ツイていないな」と感じるのはどのようなときだろうか。軸馬が大きく出遅れたとき? いや軸馬が落馬をしたときか。抜群の手応えで直線を迎え、あとは前の馬を抜くだけというときに、前が壁になり終えずに脚を余して負けたときだろうか。


 んなもん、馬券をいつも買っている自分が一番良く知っているだろうが、と言われるかもしれないが、実は分からない。これは当たっても外れても何事もなかったかのように、淡々と馬券を買うようになってから得た感覚だ。まあ「分からない」なんてのは多少、いや多分にかっこつけているだけなんだけれども、ツキを意識しないのは事実なんだ。


 「競争優位で勝つ統計学」ジェフリー・マー(河出書房新社)に非常に重要なことが書いてある。


「結果を重視してはいけない。確率的に高い割合で勝算があるものにチャレンジし続けているかを重視せよ。正しい意志決定をしている場合には、短期的に結果がともわなくとも、中長期的には必ず勝つのだから」


 この考え方を体の隅々にまで叩き込んでいる。こんな自分にツイている、と考える余地があるだろうか。感覚的には1ミリもツキが入り込む余地はない。

 

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 きょう紹介する本は谷岡一郎先生の「ツキの法則」(PHP新書)。とても有名なベストセラーだからご存じの方も多いと思う。谷岡先生は、大阪商業大学の教授で学長をされている本物の先生だ。ギャンブル関係の本を多く書かれている〝ギャンブル学の大家〟でもある。(余談となるが、知的生産の技術などに興味のある方は「40歳からの知的生産術(ちくま新書)」もおすすめ)。


 書かれていることは、ギャンブルは必ず負ける、儲かると言うやつは全て詐欺師で、大やけどを負わないスマートな負け方を学ぶべきだ、ということ。全ての賭け事は大数の法則に従い、収支は期待値に収斂する。ツキ、ビギナーズラックは統計上のゆらぎに過ぎないという。


 そう、ギャンブルは全て負けるのだ。長期的に収支100%超を目指す俺らは、まずここからスタートしなければならない。原点といえる本といっていいと思う。

 10万円を用意して、馬券で取ったり、取られたりを繰り返し1年経過したとしよう。すると大体が80%前後の8万円に収束する。これが原点。まずはそれでいいと思う。


 そこから工夫を重ね、期待値を一つひとつ積み重ねる努力をして、一歩ずつ100%超を目指して成長していけばいいのだ。


 一番最初のブログ記事に書いたが、競馬が他のギャンブルと違うのは、「親VS子」の戦いではないこと。「子VS子」の戦いなのだから、つまり期待値80%を子(つまりはギャンブラー)同士で奪い合っているのだから、他の「子」よりも優位にたてれば、算数的にも決して100%超は不可能ではないものだと思う。

 

 話しをもとに戻そう。 冒頭のツキに関して。本書にはじゃんけん大会で9回連続して勝った人同士が決勝で当たる面白いエピソードが載っている。お互い9連勝しているのだから、めっちゃツイてると思っている。しかし決勝戦では、ひとりは勝って10連勝し、もうひとりは負けて9勝1敗に確実になる。負けた方は、ここでツキの流れが変わったと思うのだ。なるほど、確かにな、と思う。(ツキ、流れなんていうのは、単なる確率でしかないということの証明)


 ツキを感じなくなってから読んだ本でとてもいいことが書かれている本を簡単に紹介する。「東大卒ポーカー王者が教える勝つための確率思考」木原直哉著(中経出版)から。


 「もちろん、ミスは反省し、検証して次に活かすようにはします。しかし、そろそろツキが回ってくるだろうとか、いくらなんでももうすぐ好調は終わるだろう、などということは考えません。結局、過去の結果も事象でしかないのです」


 つまり「確率的な思考ができていれば、それが単なる事象にすぎず、今後の事象には一切影響を及ばさない」(同書)のだ。


 ツキは後から振り返ってみて、ああ、あの時はツイていたのだな、と感じることはあっても、今とてもツイているからいけいけどんどんだ、とは考えない。未来の事象には関係がないという思考だ。

 ああ、これは分かる~、とても腑に落ちた。この本も必読本なので今後にまた紹介する。


 「ツキの法則」で一点注意したい箇所がある。これは負け続ける賭け方の紹介で、「同じ額を賭け続けることが二番目に負ける賭け方だ」、と書かれている部分だ。


 同様のことは本物のギャンブラーである森巣博さんも書かれている。負けるときは少額を張り、ここぞという勝負の時に大きな金額を張りそこで勝つのだと。「勝負の機微は駒の上げ下げ」森巣博さんが好んで使う言葉のひとつだ。

 谷岡先生も「ツキの法則」でましな賭け方として「金額を同一にしない。リズムによって(掛け金を)変化させる。時々大勝負をかける」と書かれている。


 これを実践した俺はどうなったのかを書くと、もうメタメタにやられたんだ。小さく賭けたところで勝ち、大きく勝負に出ると負け。そりゃそうだよね。どこで当たるかなんて誰にも分からないのだから。そんなゴルゴ13のような、スナイパーのような賭け方ができるのは一握りだ(ほとんどいないでしょ)。


 ではなぜこのようなことが書かれているのか。それは、カジノでプロが好んで行う種目にバカラがあるけれど、それの配当に起因しているのだと考える。


 バカラはプレイヤー、バンカーに賭けると配当が2倍で戻ってくるというもの。タイ(引き分け)に賭ければ8倍の配当が戻ってくるそうだが、それはごくまれなケースでしょう。大半は2倍前後の配当を取りに行くギャンブルだから、小さく負けて、大きく勝負に行く必要があるのだ。大きく勝負に出ないと2倍の配当では儲からないのだから当然だ。


 この理屈はFXと株式の違いにもあり、長くなるから簡単に言うと、FXは一日で動く値幅が狭いから、その分レバレッジを大きくしないと(昔は200倍とかあったそうだ・レバレッジを大きくする=大金を賭けると同一)儲からない。


 しかし競馬はどうか。2倍、10倍は屁のカッパ。30倍、40倍でようやく人心地ついたってな具合だ。つまり競馬は、馬券は大きく勝負する必要がないギャンブルなんだよね。ここを勘違いして俺のように遠回りをしないで欲しい。馬券は均一でかまわないのだ。というか均一でないとダメなんだ。


 本の紹介、といいつつ、かなり脱線をしてしまった。競馬に関しては違うのでは、という部分が多少あるが、それでもこの本は色あせることはない。


 ギャンブルは全て、必ず負けるのだ。まずここからスタートして徐々に成長をしていきたい。負ける自分が原点なんだ。それを教えてくれる名書なのでまだ読まれていない方は是非。